Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 262.100 caratteri · 523 schermate
「逃げて下さい、逃げて下さい」
長屋の者は、お綱を、そこから引き離すようにして、「後の始末は、みんながどうにでも致します。なアに、お三輪ちゃんや乙坊だって、決して、心配することはないから」
上がり框に腰かけていた万吉も、
「そうしたほうがいいだろう。ここへ捕手が踏ン込んで、枕元から縄付きになった日には、養父さんも安々と行く所へも行かれまい」
それでも、お綱は動かなかった。けれど、そのお綱自身よりも長屋の者が度を失って心配した。そして、追い立てるように支度をさせる。
「おお、あれを調べてみなくっちゃいけない。虎さんの遺言した物を……何やら押入れの奥に、お綱さんへ渡したい物があるといった……」
「刀――と一語いったようだが」
「それだけが気がかりで、ああして一目会いたいといっていたのだろうから、忘れては大変だ」
狼狽している騒ぎの中にも、こう気づく者があって、押入れの中へ首を突ッこみ、ガタガタと何かかき廻していたが、やがて、二尺四、五寸程な細長い紙包みを探しだして、
「此品じゃあないか?」
と行燈を引き寄せた。
そして、埃だらけな渋紙をはいでみると、その下にもまた二重に桐油紙が掛かっていて、丹念に麻糸を巻いてあるが、もうその中はあらためるまでもなく、脇差――ということが手ざわりでも知れる。