Classici giapponesi con furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate
八の五
「もうじき潰れるぞ」と暗い中で誰かがどなった、「突支棒をしなきゃだめだ」
強風に揉まれて、建物ぜんたいが悲鳴をあげ、板壁の歪む音がした。栄二は着替えをし帯をしめながら、みんなおちつけよとどなった。しかしその声は、板屋根の吹き飛ばされる音に消され、穴のあいた屋根から吹き込む風が部屋の中いっぱいに渦を巻いた。
「あの酒だぜ」と誰かが叫んだ、「赤鬼は眼をつぶったが、おてんとさまはそうじゃなかった、このあらしは酒の罰だぜ」
「外へ出ろ」と栄二が叫んだ、「屋根を剥かれちゃあもう保たねえ、みんな外へ出ろ」
八の五
まっさきに外へとびだした男が、「水だ」と叫んだ。風に吹き千切られてよく聞えなかったが、続いて出てゆく者がみな「水だ水だ」と喚きたてた。それを聞いて、出るのをためらった者が数人、戸口で迷っているとき長屋の建物が大きく揺れあがり、木の引き裂ける音が次々と起こって、端のほうから、あっけないほど脆く倒壊した。
栄二はいちばんあとから出るつもりで、その数人の者と戸口にいたが、木の裂ける音を聞いたので、「こいつは倒れるぞ、出ろ」と云って、二人か三人を押しやりながら戸外へとびだした。