Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate

Aozora Bunko

――こんなことで怒るなよ、栄二は自分にそう云いきかせながら、筆を置いてうしろの撞木杖を取り、土間のほうへいざっていった。そのときさぶが、風呂敷包みを持って戸口から覗いた。りゅうの躯が邪魔になって、すぐには中へはいれないのであった。

「いまそっちへいくよ」と栄二が呼びかけた、「外で話そう」

ゆっくりしな、と義一のまわりで誰かの云うのが聞え、二、三人がくすくす笑った。栄二が戸口へ近よってゆくと、りゅうはさも面倒くさそうに、のろのろと脇へよけた。

「なにかあったのかい」いっしょにあるきだしながらさぶがきいた。

栄二は首を振った、「外へ出てみたかったんだ、足もならさなくちゃあならないからな」

「しかしいまのあの連中」

「あいつらのことは云うな」と栄二はさぶの言葉を遮った、「海のほうへいってみよう」

杖を使ってあるく栄二の姿を、さぶはしんそこいたましそうな眼で見た。すぐに顔をそむけたが、栄二は「あれだ」あの眼だ、と心の中で叫んだ。いつか夢の中でみた、石と石のあいだから覗いていたさぶは、いまとそっくりな眼つきだった。死なないでおくれ栄ちゃん、おらあおめえだけが頼りなんだ、とあの眼つきで叫んでいたのだ。