Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さぶ

さぶ

山本 周五郎

Leggi さぶ di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 210.521 caratteri · 415 schermate

Aozora Bunko

「よかったらお店へいらっしゃいよ、親方もおかみさんも栄さんならいけないとは云わないでしょ、あたしがなんとかしてあげるわ」

「知ってるうちはちょっと気まずいな」

「なにが気まずいもんですか、こんなことはそう珍しくはないのよ」

その代りに肴の贅沢は云わないでねと、おのぶは独りできめて、いそぎ足になった。

すみよしへ着いて裏からはいり、栄二はいつもの小座敷へとおされた。昨夜の客のあとがざっと片づけてあるだけで、隅のほうには紙屑や箸などがちらばっていたり、四、五枚の座蒲団が壁へ押しつけてあったりして、空気は強い酒の匂いに淀んでいた。まだ女たちは寝ているのであろう、雨戸を閉めた家の中は、うす暗くしんとしていて、主人夫妻と話しているおのぶの声が、山の中で遠い話し声を聞くように、はっきりしない低い調子で聞えてきた。

「よせばよかったな」寒さに身ぶるいをしながら栄二は呟いた、「――香和堂のあにいのところへいって相談するか、それともじかに綿文へいってわけをきくか、どっちかにするほうがよかった」

「そうだ、そのほうが本当だった」と彼はまた自分に云った、「いったい自分がなにをしたのか、それをはっきりさせるのが先だ、やけ酒なんか飲んだって、なんのたしにもなりゃあしねえぜ」