Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ロザリオのくさり

ロザリオの鎖

永井 隆

Leggi ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) di 永井 隆 (ながいたかし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.351 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

熊野先生

特殊な発明を完成しながら、その機密を容易に発表したがらぬ者。学問の切り売りはしないなどと称してことさらに民衆教育をいとう者。そんな連中が現代いかに尊敬されているのであろうか?

なるほど彼らがその知的財を頭脳に蓄積するまでにはなみなみならぬ苦労があったであろう。農夫が粒々辛苦する以上の辛苦であった。しかしその辛苦はもともと人類文化の進歩のためになされたのではなかったか? おそらく彼らといえども髪黒く歯白く、血の赤かった青春のころから知的守銭奴を志望して勉強を始めたのではあるまい。勉強の成果として知的財を頭蓋骨の倉におさめたとたん、欲が出たのであろう。権威欲、名誉欲、優越欲、それからその知的財を資本にひともうけしようとする物欲などが髪白く歯黒く血の青くなった赤はげ頭の中に燃え上がったのである。

しかも彼らは朝飯のあとで新聞を読みながら、農夫の一尺祝いを憎みかつあざけるのである。

私もまた実は知的けちんぼの一人だ。しかしたいした資本ではない。長屋の高利貸しぐらいのところである。

熊野先生

大正十一年秋、松江の招魂祭の日はしぐれていた。松江中学の生徒はそれに参拝のためいま校門を出て赤山の坂を四列縦隊で下りゆくところであった。