Classici giapponesi con furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Leggi ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) di 永井 隆 (ながいたかし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.351 caratteri · 213 schermate
私は夜中に焼け跡を歩いてみた。冬の月が青く照らしている冷たさは、まさに幽霊が出ねばおさまらぬ場面であった。泣き声はゆけどもゆけども聞こえない。橋口から原の田、松山の爆心を右に見てそれから佐城の坂、ようやく道だけ開いてあって両側はあの日のまま、小屋は一つも建っていない。このあたりは一家全滅のあとばかりだ。宿の高台へ出た。寒い夜風が港からまともに吹きつけて思わずぞっと首をすくめた。すると、ヒイーッ、ヒイーッとすすり泣きが聞こえてきた。思わず足をとめる。東はすぐに大学の構内で解剖室の並んでいたあたりだ。西にはがい骨のような枯木が白く月に光っている。ヒイーッと足もと近くにひとりすすり泣くもあり、遠く離れたところで数人寄り合っても泣いている。大人も泣いている。幼な子の声もまじる。むせび泣くのもある。臨終の息をまさに引き取ろうとするのもいる。
このあたりは大学町で、助手たちの家庭や学生の下宿が主だった。たばこと郵便切手を売る店や、冬はみかん、夏はところてんを売る店などが間にはさまっていた。葉書を買うとたとい二枚でも三度数え直して、にっこりともせず渡す色の白い女か妻かわからぬ女や、一日中シェパードを訓練していたシェパードも恐れる人相の大男や、いつ通ってみてもピアノをたたいていた金持ちの娘や、どんな急病人の迎えにも絶対