Classici giapponesi con furigana
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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
Leggi 三枚続 (さんまいつづき) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 63.572 caratteri · 124 schermate
支えて立身で居る、しばしば跫音を立ててしっくい叩の土間を、靴で士官の群の処へ通うのはこのボオイで、天井は高く四辺はひっそり、電燈ばかり煌々と真昼間のごとく卓子を照して、椅子には人影もなかったのである。
戸外は立迷う人の足、往来も何となく騒がしく、そよとの風も渡らぬのに、街頭に満ちた露店の灯は、おりおり下さまに靡いて、すわや消えんとしては燃え出づる、その都度夜商人は愁わしげなる眉を仰向けに打見遣る、大空は雲低く、あたかも漆で固めたよう。
蒼と赤と二色の鉄道馬車の灯は、流るる蛍かとばかり、暗夜を貫いて東西より、衝と寄っては颯と分れ、且つ消え、且つ顕れ、轣轆として近き来り、殷々として遠ざかる、響の中に車夫の懸声、蒸気の笛、ほとんど名状すべからざる、都門一場の光景は一重の硝子に隔てられてビイヤホールの内は物色沈々、さすがに何となく穏かならぬ宇宙の気勢の、屋を圧して刻々に迫るを覚ゆる、これが、風になるか、雨になるか、日和癖で星になるか、いずれとも極ったら、瀬を造って客は一斉に籠むのであろう。
とばかりにしてものの静けさよ。ここかしこの鉢植なる熱帯地方の植物は、奇花を着け、異香を放ち、且つ緑翠を滴らせて、個々電燈の光を受け、一目眇として、人少なに、三組の客も、三人のボオイも、正にこれ沙漠の中なる月の樹蔭に憩える風情