Classici giapponesi con furigana
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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
Leggi 三枚続 (さんまいつづき) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 63.572 caratteri · 124 schermate
十
早朝上野の不忍の池の蓮見に歩行いて、草の露のいと繁きに片褄を取り上げた白脛を背後から見て、既に成女の肉附であるのに一驚を喫した書生がある、その時分から今も相変らず、美しい、若々しい。
不意の見参といい、ことに先刻小間使を見てさえ低頭平身した青年の、何とて本尊に対して恐入らざるべき。
黙って額着くと、鴨川大人は御自慢の細君、さもあらんという顔色、ぐッと澄して、
「勝山さんの使の方です。」
十
「そう、貴方よくいらっしゃいましたね、勝山さん、あのお夏さん、お変りはないの、ああ、ついこないだおいでなすったのね。」ともっての外御懇のお言葉。
「人形町からでは随分ある。」と鴨川は打頷く。
「貴方もあの辺なんですか。」
青年はやっと口が利けた。
「へい、近所でございまして、」
「遠いんですね、腕車でも随分暑かったでしょう、宅に居りましても今日あたりはまた格別なんです、」といいながら純白な麻を細く襲ねた、浴衣でも上品な襟を扱いて背後を振向き、
「定や、団扇を持っておいで。」
小造な若い令夫人は声を懸けて向直ったが返事をしなかったので、
「貴方憚り様ですが呼鈴を、」とお睦まじい。