Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
青蚊帳をすかして見るような、紺いろにぼけた世界だった。藻の林が身辺においしげって、ふしぎなことには、その尖端に一つ一つ果のように人の顔がついていた。源十郎だった。お藤だった。与吉だった。隻眼で、こわい傷のある左膳とかいう侍の首だった。それが四方八方から今にも咬みつきそうに自分をめざして揺れ集まってくる。
お艶が恐ろしさに身ぶるいして逃げようとしても、昆布のような物が脚腰にからみついていて一寸も動かれない。懸命に助けを呼んでも、口から大きな泡の玉が立ち昇るだけで、自分の声が自分にも聞こえなかった。
なんという情けない!……
と胸を掻きむしって上を仰ぐと、陽の光が斜めに縞のようにぼやけている水面を、坤竜丸を差した栄三郎が泳いでゆく、何度も何度も頭上高く輪をかいて泳ぎまわっているが、おりてはこないし、お艶も浮かびあがれなかった。
ああ! じれったい!
あんなにわたしの上をまわっていて、これが見えないのかしら? 見てももう救い出してくださるお気はないのかしら?
首尾の松の小舟で……あれほど固く誓ったものを!
人魚になったお艶が源十郎の首にすりよせられて思わず泣き叫ぼうとしたとき、