Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate

Aozora Bunko

ここで栄三郎は、かぶっていた編み笠を路傍へ捨てて、しずかに愛刀武蔵太郎安国の鞘をはらう。

濡れ手拭をしぼるように、やんわりと持った柄の手ざわりにも、今宵こそ! と思う強い闘志をそそられて、栄三郎の平青眼はおのずと固かった。

と、うしろに。

「やわらかに」

という声がする。ふしぎ! 誰? と振りむこうにも、前方には左膳の隻腕一文字に伸びてツツ……と迫ってくるのだ。乾雲の鋩子先を一点の白光と見せて。

「汝をどんなに探したことか――ふふふ、運の尽きだ! いくぜ、おいッ」

蒼白の麗顔に汗をにじませて、栄三郎は無言。

小ゆるぎもせずに大刀を片手につけた左膳、右に開いた身体にあかつきの微風を受けて、うしろの右足がツウッ! と前の左足のかかとにかかったと見るや、棒立ちの構えから瞬間背を低めて、またもやひだり足の爪さきに地をきざませて這い寄る。それから再びソロソロと右足が……こうして道路を斜めに栄三郎をつめながら、覆面のかげから隻眼が笑う……どうでえ、青二才! あんまりいい気もちはしめえが! というように。

押されるともなく、追われるでもなく、いつしか片側の松の幹までさがった栄三郎、思わずはっとして気をしめた。