Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
乞食にしても汚なすぎる風体。
だが、肩になでる総髪、酒やけのした広い額、名工ののみを思わせる線のゆたかな頬。しかも、きれながの眼には笑いと威がこもって、分厚な胸から腕へ、小山のような肉おきが鍛えのあとを見せている。
年齢は四十にはだいぶまがあろう。着ているものは、汗によごれ、わかめのようにぼろの下がった松坂木綿の素袷だが、豪快の風あたりをはらって、とうてい凡庸の相ではない。
あっけにとられた源十郎が、二の句もなく眺めている前で、男はのそりと溝を出て来た。
ぱっぱっと身体の落ち葉は払ったが、あたまに二、三枚銀杏の葉をくッつけて、徳利を片手に、微風に胸毛をそよがせている立ち姿。せいが高く、岩のような恰幅である。
偉丈夫――それに、戦国の野武士のおもかげがあった。
すっかり気をのまれた源十郎はそれでも充分おちつきを示して、この正体の知れない風来坊をひややかな眼で迎えている。
一尺ほど面前でぴたりととまると、男は両手を腰において、いきなり、馬がいななくように腹の底から笑いをゆすりあげた。
その声が、銀杏の梢にからんで、秋晴れの空たかく煙のように吸われてゆく。