Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
においこぼれる口もとの笑みを前垂れで受けながら、こういって栄三郎を見上げた澄んだ瞳には、若いたましいを嬌殺しないではおかないものがあった。栄三郎は、つと身も世もない歓喜が背筋を走るのを覚えつつ、
「ま、はいりましょう――」
と先に立って葦簾張りをくぐるとすぐ、
「さ、五十両ある」
大きく笑って、重い財布をそこの腰かけへほうり出した。
お艶はすぐに取りあげもならず、はじらいを包んだ流眄を栄三郎へ送ってうつむいた。
「なんともすみません――ねえ、若殿様、おなじみも浅いのにはやお金のことを申しあげたりして、やはりはしたない茶屋女だけのことはあるとおぼしめすでございましょうねえ。わたしはそれが辛くて――」
「なんの。不如意の節は誰しも同じこと。早くこれを持って行って、その鍛冶富とやらへ借利を払ってやりなさい。私が店番をしている」
「まあ! なにから何まで――では、母へも知らせてお礼はあとから改めて申しあげますが、せっかくのおなさけでございますからすがらせていただいて、ちょっとひとッ走り行って返して参ります。あの、すぐそこでございますよ」
いそいそと前掛けをはずしたお艶が、袖を胸に重ねて走り出したところで、とんとぶつかりそうになった女づれの侍がある。