Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
この雨さ。とんだ濡れ場じゃあ洒落にもなりゃしない……ちょいと船頭さん、急いでおくれな」
あッ! お艶はさらわれたのだ――栄三郎はよろめく足を踏みこらえて、声も出ない。
立て膝のお藤、舟べりに頬杖ついて、
「ねえ、ぼんやり立ってないで、どうするのさ! あたしが憎けりゃ突くなり斬るなり勝手におしよ――それより、どなたか火打ちを? でも、この降雨じゃあ駄目か。ちッ! 煙草一つのめやしない」
斬ったところで始まらぬ……泰軒と栄三郎が顔を見合わせていると突如! 垂れこめる銀幕をさいて現われた左膳の舟が! ドシン! と横ざまにぶつかるが早いか、抜きつれた明刀に雨脚を払って一度に斬りこんで来た。
艪を振りあげた泰軒、たちまち四、五人に水礼をほどこす。栄三郎にかわされた土生仙之助も、はずみを食って水音寒く川へのめりこんだ。
沛然たる豪雨――それに雷鳴さえも。
きらめく稲妻のなかに、悪鬼のごとき左膳の形相をみとめた栄三郎、
「汝れッ! 乾雲か。来いッ!」
とおめいたが、妙なことには相手は立ち向かうようすもなく、落ちた連中を拾いあげると、こっちの舟へ一竿つっぱって倉皇として離れてゆく。