Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Leggi 五瓣の椿 (ごべんのつばき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.721 caratteri · 296 schermate

Aozora Bunko

二

うばいは繁昌し、人に羨まれるようなむさし屋の主人が、本当はどんな貧乏な人より貧しく、どんな不仕合せな人よりも不仕合せだった」

世間はこんなものなのだろうか、とおしのは思った。

幸福でたのしそうで、いかにも満ち足りたようにみえていても、裏へまわると不幸で、貧しくて、泣くにも泣けないようなおもいをしている。世間とは、本当はそういうものなのかもしれない。――そうだとすれば、おっ母さんのような人はいっそう赦すことができない。心では救いを求めて泣き叫びたいようなおもいをしながら、それを隠してまじめに世渡りをしている人たち。そういう人たちの汗や涙の上で、自分だけの欲やたのしみに溺れているということは、人殺しをするよりもはるかに赦しがたい悪事だ。

「ああ」とおしのは呻いた。

二

女中が茶を替えに来たとき、おしのは窓框に肱を掛け、その上に顔を伏せたまま、眠ったような恰好をしていた。

「まあ、どうなさいました」と女中が坐りながら声をかけた、「障子をあけたままで、うたた寝などをなすっていると、お風邪をひいてしまいますよ」

「火事を見ていたのよ」と云っておしのは顔をあげた、「そうしたらなんだか気持が悪くなってしまって」