Classici giapponesi con furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Leggi 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.094 caratteri · 411 schermate
いや、今もむかしも抜け駈けするが勝であろうよ。しかし塩冶はどうじゃ。死物狂いの逆寄せなどをたくむような気ぶりはなかったかな。いや、奥方に行き逢うたばかりでは、それも判るまい。塩冶が日頃の気性から察すると、しょせんは見込みの立たぬ逆寄せなど巧もうよりも、一刻も早う都を落ちて本国に立て籠る――十に八、九は先ずそれであろうな。とはいえ油断は無用じゃ。こちらでも万一の構えをせねばなるまい。」
一方は塩冶に同情しながらも、時誼によっては彼と闘わなければならない事情のもとに置かれている師冬は、すぐに腹心の家来を呼んで何事をかささやいた。その家来がけわしい眼をして早々に立ち去るのを見送って、師冬は更に妹に訊いた。
「今宵の供にはかの侍従と、ほかに一人の侍を召し連れて出たというが、その侍は誰じゃな。」
「本庄采女でござりまする。」と、小坂部はやはり正直に答えた。
「本庄采女……。」と、師冬はさもこそというようにうなずいた。「大方はそうであろうと察していた。兄妹の仲じゃ、つつまず言え、お身はあの采女という若侍と恋しているか。」
何もかも正直がよいと思ったので、小坂部は素直にそれを是認した。