Classici giapponesi con furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Leggi 南国太平記 (なんごくたいへいき) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 493.291 caratteri · 991 schermate
その一刹那
「ええいっ」
牧の手の戒刀が、画像へ閃くと、明王の頭から、真二つに切れて、倒れ落ちると共に、その裾から、燃え上ってしまった。
「成就」
牧は、人間らしい眼に戻って、画像の焼けるのを眺めていたが、片手で礼拝した。そして、燃えつくしたのを見終ると、戒刀の尖で、親指の甲を切った。血が、噴き出してきた。牧は、それを、画像の灰の上へ、そそぎかけた。
戒刀を下へ置いて、火炉の灰を疵口へつけて、三度、黙祷した。そして、立上ろうと、壇へ手をついたが、腰を浮かすと、よろめいた。首を垂れて、暫く、右手をついたまま、じっとしていたが、静かに、上げて来た眼に、微かに涙が光っていた。
加治木玄白斎は、疲労と、風邪と、その熱とで、白い中に埋まって、臥っていた。静かな寝息、暗い行燈、何んの物音もしない部屋、部屋。その中で、急に、手を蒲団の外へ突き出すと、鋭い眼付をして
「市助」
そう叫んだ瞬間、よろめきつつ、起き上っていた。
「はっ」
「用意っ」
市助は、次の間から襖を開けて、膝をついて、蒲団の上で、危い足つきをしながら、帯をしめ直している玄白斎を見上げて
「修法の?」
「者共を、起せっ」