Classici giapponesi con furigana
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げんばくししゅう
原爆詩集
峠 三吉
Leggi 原爆詩集 (げんばくししゅう) di 峠 三吉 (とうげさんきち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.927 caratteri · 43 schermate
六日め
むこうの柱のかげで全身の繃帯から眼だけ出している若い工員が、ほそぼそと「君が代」をうたう。
「敵のB29が何だ、われに零戦、はやてがある――敵はつけあがっている、もうすこし、みんなもうすこしの辛棒だ――」
と絶えだえの熱い息。
しっかりしなさい、眠んなさい、小母さんと呼んでくれたらすぐ来てあげるから、と隣りの頭を布で巻いた片眼の女がいざりよって声をかける。
「小母さん? おばさんじゃない、お母さん、おかあさんだ!」
腕は動かず、脂汗のにじむ赧黒い頬骨をじりじりかたむけ、ぎらつく双眼から涙が二筋、繃帯のしたにながれこむ。
七日め
空虚な倉庫のうす闇、あちらの隅に終日すすり泣く人影と、この柱のかげに石のように黙って、ときどき胸を弓なりに喘がせる最後の負傷者と。
八日め
がらんどうになった倉庫。歪んだ鉄格子の空に、きょうも外の空地に積みあげた死屍からの煙があがる。
柱の蔭から、ふと水筒をふる手があって、
無数の眼玉がおびえて重なる暗い壁。
K夫人も死んだ。
――収容者なし、死亡者誰々――
門前に貼り出された紙片に墨汁が乾き
むしりとられた