Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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げんばくししゅう

原爆詩集

峠 三吉

Leggi 原爆詩集 (げんばくししゅう) di 峠 三吉 (とうげさんきち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.927 caratteri · 43 schermate

Aozora Bunko

一九五〇年の八月六日

睫毛もない 瞼のすきに

人間のわたしを 遠く置き

いとしむように湛えた

ほほえみの かげ

むせぶようにたちこめた膿のにおいのなかで

憎むこと 怒ることをも奪われはてた あなたの

にんげんにおくった 最後の微笑

そのしずかな微笑は

わたしの内部に切なく装填され

三年 五年 圧力を増し

再びおし返してきた戦争への力と

抵抗を失ってゆく人々にむかい

いま 爆発しそうだ

あなたのくれた

その微笑をまで憎悪しそうな 烈しさで

おお いま

爆発しそうだ!

一九五〇年の八月六日

走りよってくる

走りよってくる

あちらからも こちらからも

腰の拳銃を押えた

警官が 馳けよってくる

一九五〇年の八月六日

平和式典が禁止され

夜の町角 暁の橋畔に

立哨の警官がうごめいて

今日を迎えた広島の

街の真中 八丁堀交差点

Fデパートのそのかげ

供養塔に焼跡に

花を供えて来た市民たちの流れが

忽ち渦巻き

汗にひきつった顎紐が

群衆の中になだれこむ、

黒い陣列に割られながら

よろめいて

一斉に見上るデパートの

五階の窓 六階の窓から

ひらひら

ひらひら

夏雲をバックに

蔭になり 陽に光り

無数のビラが舞い

あお向けた顔の上

のばした手のなか