Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Leggi 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.226 caratteri · 295 schermate
三
「なあ今はん。これ私、きょう一円二十銭で買い立ての帽子や、上方者やからすぐ値段言う思いなはんなや」
その頃の一円二十銭は大金だった。今日の十円にもつッかふだろう。
「あんたと初めて友達になった記念に今夜もっともっと奢りたいのやけれど、私、もう金あれへん、そやさかい、この帽子代一円二十銭、あんたに残らず奢ったつもりで……」
言うかと思うと、
「エイ」
いきなり夷橋の上から、道頓堀川目がけてサーッと勢いよく投り込んだ。アッという間に、白い矢を描いて廻りながら帽子は川の中へ落ちていった。そうしてわずかに消え残っている川面の灯影を乱した。
「ほたら今はん、また明日会おな。さいなら」
そのままなんの未練も屈託もなさそうに、プイと帰っていってしまった。
なんとそのまた背ろ姿のスッキリしていたこと。
「…………」
……今朝思い浮かべて見ても、言いしれず胸がスーッとした。
東京にも滅多にないあんな男は。
江戸っ子の生まれぞこないは金を溜めるが、上方にもあんなお金を欲しがらない生まれぞこないがあったのか。
カーッと蒸暑そうなはつ夏の光が窓からさし込んできている長町に近い雑用宿の二階の寝床の上へ座って、二日酔の頭を振りながら今松はなんべんもそう思っては感心していた。