Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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よせ

圓太郎馬車 正岡容寄席小説集

正岡 容

Leggi 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.226 caratteri · 295 schermate

Aozora Bunko

二

とわけのわらないことを今松は怒鳴った。

二

「どうしたってんだ、いったい」

呆れて熱海の海岸通りにある温泉旅館柳美館の主人は、だしぬけに命に別状ないばかりと言ったひどい姿で現れてきた旅やつれのした今松の顔を、ジロジロと眺め廻した。五十がらみの肉付きのいい恰幅に、くすんだ色の半纏姿が頼もしく似合っている柳美館だった。

五日目の午後三時過ぎ。

「どうもこうもありゃしません」

それでもやっとここの旦那に巡り合えた嬉しさがよほど元気を取り戻したものとみえ、さっきここの玄関へ入ってきたときとは別人のような活々としたものを顔中に漂わせながら今松は、浜松で一座と別れ、あと二、三日は宿屋でゴロッチャラしていたものの、自分たちのかかったあとの寄席へは旅廻りの浪花節がかかってしまったので、そこへ使ってもらうわけにもいかなくなり、どうにも方返しがつかなくなって、ふッと柳美館の存在を思い出し、一本槍にこの熱海まで飛び込んできたのだという顛末を、もう落語家らしいのんきな調子で、しずかに響いてくる浪の音に遮られながらことごとくしゃべった。

「おっと待った。だからお前さんはこの俺に、当分ここの家へ置いて座敷でも稼がせてくれとこう言うんだろう」