Classici giapponesi con furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Leggi 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.226 caratteri · 295 schermate
それからヘッピリ腰で欄間へあがると、またしても不器用な手つきで鉄槌を握って、今度は立木や灯入りの月や両袖などをトンカチンと打ちつけた。
こんな高えところへあがってると目が眩んで、ガタガタ足がふるえてしかたがねえや。片手を柱へしがみつくように巻きつけて彼は、いちばん大きな杉の立木のすわりをよくしようと、片手で鉄槌を振りあげかけると、ベリッ。綿入れの袖を小枝へ引ッかけ、ひどい鉤裂をしてしまった。
しまった、ギクッとすると手がお留守になり、鉄槌はスルリと指と指の間を抜けて下へ落ちていった。いけねえ重ね重ねだ。いまいましそうに圓太郎は舌打ちした。そのときだった。十ぐらいになる内裏雛のような品のいい男の子が藤納戸の紋服に手遊びのような大小を差してお供もなく、チョコチョコ駆け出してきた。ヒョイとその子の上へ目を落とすと、
「オイ坊や――」
「…………」
男の子は立ちどまり、怪訝そうに彼を見上げた。
「いいところへ来てくれたな坊や。すまねえがお前の足もとの鉄槌をちょっと拾ってくンねえな」
口を尖らし、唇の尖で圓太郎は鉄槌のありかを指すようにした。
「これか」
言われるままに男の子は鉄槌を取り上げると、圓太郎のほうへ手を伸ばした。