Classici giapponesi con furigana
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よせ
圓太郎馬車 正岡容寄席小説集
正岡 容
Leggi 圓太郎馬車 正岡容寄席小説集 (よせ) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.226 caratteri · 295 schermate
言下に手品の狐光が言った。
「アア、嬉しい帰れるの、東京へ」
女義太夫の巴好巴生姉妹が躍りあがるようにして抱き合った。
「私ももちろん帰りますよ」
講釈師の貞票が、不景気な顎鬚を撫でながら、それに和した。
「私も連れて帰ってくれますね」
年寄った前座の柳叟までが、嬉しそうに乗り出してきた。
「オイ師匠にゃ、なんとでも話してやるから一緒に帰るね、今さんも」
皆の言うのをいちいちうなずいて聞きながら梅朝は、おしまいに旅へ出ていっそう日焼けのした今松の長い顔を見た。
「私ア、置いてってくださいな、この土地へ」
キッパリと答えた。
「ド、どうして」
けげんそうな顔を、梅朝はした。
「どうしてでも」
ニヤニヤと今松は笑った。
まさか、お艶ちゃんとの思い出が痛い東京へ帰るのはいやとは言えなかったし、またこの人に言ったとて、それは詮ないことだとも思った。
「いいんですいいんですよ、私は私で。今ちょいとひと趣向あるんですから」
元気よくそう言って手を振った。
梅朝一座は浜松で解散した。
皆が発つとき今松は、停車場まで送っていった。
少ないけれどもと汽車が出ようとするときになって梅朝は、五十銭玉を二つくれた。