Classici giapponesi con furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Leggi 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 267.766 caratteri · 530 schermate
「決して風流ではござりませぬ。さりとて悪戯でもござりませぬ。ただ書きたくなりましたので、楽書きをいたしましてござります」
こういって依然として大胆に、艶めいた笑い方を公卿へ見せた。
しかしどうやら公卿のほうでは、それを諾おうとはしないようであった。
「麿にはそのようには思われぬよ。何らか深い思惑があって、楽書きをしたものと思われるよ。麿に遠慮をすることはない。そちの思惑を話すがよい」こういって娘の顔をのぞいた。
しかし娘は同じように、大胆な艶めいた笑い方を、顔一杯に漂わせるばかりで、答えようとはしなかった。
と、そういう娘のようすが、公卿にはいよいよ審かしくも、疑わしくも思われたらしい、胸と胸とが合わさるばかりに、近々と娘へ近づいたが、
「そも、そちの名は何というぞ?」
「はい、粂と申します」
「で、年は幾歳であるか?」
「はい、十九にござります」
「ここの長屋をいずこと思うぞ?」
「所司代様のご番士方の、組お長屋と存じます」
「それと知っていて楽書きをしたか?」
「はいはい、さようにござります」
「恐ろしいとは思わずにな?」
「なんの恐ろしいことがござりましょう。この妾にとりまして、恐ろしくも尊くも思われますお方は、お一方のほかにはござりませぬ」