Classici giapponesi con furigana
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Leggi 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 267.766 caratteri · 530 schermate
天龍川に沿って
「存じませんでござります」いいいい鴫丸は眼をみはった。子を負った女が立っていた。
天龍川に沿って
子を負った女は君江であった。この時まで市中に良人をたずねて、さまよい歩いていたものと見える。
「あなたご存知ではござりますまいか、私の大事なお妻太夫さんを?」今度は鴫丸が愚かしく訊いた。
と、君江は首をかしげたが、「存じませんでござります」
そこで二人は黙り込んだ。川の中へ落とされた巻き奉書は、水へ沈んだのか流されたのか、川の面には見られなかった。秘密を包んで永遠に、人の世へ二度とは現われまい。不意に鴫丸が愚かしくいった。
「ではご一緒にお妻太夫さんと竹之助様とをお探ししましょう」君江には否やがなかったと見える。
「一緒にお探しいたしましょうよ」
こういって小橋を一方へ渡った。鴫丸も並んで歩いて行った。狂女と白痴との二人であった。どこまで歩いて行くことであろう。
これは後日のことであるが、大津の駅路にお妻太夫の、小屋掛けの見世物がかかった時、その菰張りの楽屋の中に、君江とその子の竹太郎とが、一座の人たちに可愛がられながら無邪気に平和に暮らしていて、鴫丸がいつも竹太郎を、膝の上へ乗せてあやしたり、背に負ってあやしていたそうである。