Classici giapponesi con furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Leggi 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) di 小出 楢重 (こいでならしげ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.351 caratteri · 657 schermate
私の家が千日前に近い関係上、ひまさえあると誰れかに連れられて私はこの修羅場を歩きまわった。
活動写真はまだ発明されていなかったために、そこは、地獄極楽の血なまぐさい生人形と江州音頭の女手踊りと海女の飛び込み、曲馬団、頭が人間で胴体が牛だという怪物、猿芝居二輪加、女浄るり、女相撲、手品師、ろくろ首の種あかし、等々が並んでいる。中でも私の好きなのは、あくまで白く塗った妖味豊かなろくろ首の女であった。怖ろしいのだが、見たいのだ。何かキラキラと光る花かんざしや、金モールの房のある幕の端がだらだらとぶら下って、安い更紗模様のバックが引廻わされている。
私がもう写生帖を懐中するだけの大人となってからの事だ。私の弟が薬剤師の試験を受けるためにとっておいた受験証をば私は預かっていた。それをその写生帖の一頁へはさんでおいた事をうっかりと忘れて私は、人ごみの中へ立って、ろくろ首を写生した。
その翌日弟の試験日だ、私はそれを落した事を初めて知ったが、もう千日前の泥道にさような小さいものが存在すべきはずもなかった。弟はとうとう一年間遊んでしまったという、私の大失態がろくろ首から、醸し出された。