Classici giapponesi con furigana
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やまをおもう
山を思う
石川 欣一
Leggi 山を思う (やまをおもう) di 石川 欣一 (いしかわきんいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 79.814 caratteri · 157 schermate
釣れぬとなると煙草に火をつけて景色をながめる。大天井や山上ガ嶽にはまだ雪が残っているが、姿の美しい高見山には霞がかゝり、電車の線路には陽炎が立っていた。その線路の横に、おほいぬふぐりの花が咲いていたのに気がつき、「まるで本当の春だな」という友人に、「もう草の花が咲いているからね」と合槌を打ったが、信用しない。それなら見せようと、竿も魚籠もおいたまゝで広い河原を横断して、わざわざ線路の所まで歩いて行った。おほいぬふぐりやはこべを先頭に、花はどんどん咲いて行く。春の進行はすこぶる速い。だから、「たれこめて春の行方も知らぬ間に」などと、悠長なことをいっていないで、山や川や野や原へ出かけて行くにかぎる。
僕みたいに、休みの日には必ずそとへ出る者にとって、一番有難いのは、日が長くなることである。四時半、五時、六時になってもまだあかるいことは、甚だ気持を落ちつかせ、のんびりさせる。これが北欧のように、九時になっても十時になっても明るいとなると、却って間がぬけるが、この辺では丁度いゝ工合の時間に暗くなり、電燈がつく。その頃にはいゝ加減つかれて家に帰り、風呂に入っていっぱいやる。