Classici giapponesi con furigana
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やまうらきよまろ
山浦清麿
吉川 英治
Leggi 山浦清麿 (やまうらきよまろ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.573 caratteri · 91 schermate
四
四
『おっ母さん! ……』
『…………』
『そんな事、聞かないでも、真雄は知っております。――毎夜のように、家の近くを、うろうろと彷徨っている嬰児の泣き声でも分っている。あれは、環が捨てて来た妻のお咲が、子を抱いて、見えない良人を、探しに歩いている声ですぞ。おっ母さん!』
『……おいのう』
『あなただって、あの嬰児の声は、お聞きでしょう。新妻の痩せた姿もわかるでしょう。子を抱いて、捨てられた若い女房が、どんな思いでいることか』
『…………』
お菅は、咽び泣いて、薄い体を、よよと畳に顫かせた。
『たとえ、この上、山浦真雄が、いかに人から唾をうけようが、弟を、入れる事はできません、断じて出来ない! ……ああ、もう止そう、おっ母さん、お体に障ります、やめて下さい、やめて下さい』
真雄は、鞴の前へ馳け寄って、どっかと、筵の上に坐ると、金火箸を把って、真っ赤な溶鉄となった玉鋼を、火土の中から引き出した。
そして、鉄敷のうえに、それを置くや否、小鎚を把って唇を噛みしめ、一念に鍛ち初めた。
ばッ、ばッ、ばッ――と鎚の先から焔の屑が飛んだ。眼にもいっぱいに赤い涙がたまっている。