Classici giapponesi con furigana
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どうじ
文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子
室生 犀星
Leggi 文豪怪談傑作選 室生犀星集 童子 (どうじ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.454 caratteri · 357 schermate
「こまるわ、そんな事――。」
娘はすぐ言葉を継いで、何か自分の頭に今きゅうに起った新しい考えに思い付いて不図尋ねた。
「そんなことをお聞きになって何になさるの。どちらが好きでもかまわないじゃありませんか。わたしよそへ行きはしないし、誰一人として此処には人間らしいものが居ないんですもの。」
「誰一人いないところだから、お父さんはそうお前にききたいんだよ。お父さんはそれを聞くのが楽しみなんだよ。」
「ではお母さんより好きだといえば、いいお気もちになりますの。」
娘はそういうと黙っている眠元朗をかえり見た。
眠元朗は心のかたくななのに暫らく沈みこんでいた。
「お父さまがお喜びになるなら、わたしお父さまが好きだと言ってもいいわ。」
眠元朗は返辞をしないで、桃花村のある島の向うに眼を漂わせていた。それは娘の返辞のそれから鬱ぎ込んだのではなく、きゅうにやはり詰らない退屈さと所詮なささが、唐突にかれを心から脅かしたからである。自分の考えている事や、自分の今在るということ、そして妻のことなどがかれをかれの永い間持ち腐らせている悒鬱にまで追い込んだのである。――かれはそういうとき物を言うこと、又聞くことを厭うた。