Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate
「えッ」
「かくすな」
「…………」
日吉は、うまく彼を騙いたつもりでいたが、十兵衛の叡智の眼は、何もかも観ぬいていることを、明らかに示していた。
(これはいけない。騙された顔していても、騙しきれない人だ)
日吉はすぐ覚ったので、もう言い訳も口答えもせず、はいといって、先に歩き出した。
一点の灯も見えない。ただ伽藍の大屋根を、木の葉の疾風が、舷を洗う飛沫のように打つけていた。
その――常在寺裏の林は、まるで荒れ狂う海原だった。木々の唸り、草の嘯き、耳も眼も、奪われてしまう。
「針売り」
「はい」
「森の中に、もう仲間が集まっているか」
「分りません。何しろ、このひどい風では――」
「いや、来ている」
「そうでしょうか」
「ちょうど、時刻もはや、戌の下刻に近かろう。――そち一名が、いつまで、見えぬので、仲間の者が皆、案じているにちがいない」
寺裏の大きな五輪の台石に腰かけて、十兵衛は云った。
小脇に持っている槍の穂先が、日吉のすぐ足の先で、風に研がれていた。
「仲間へ、顔を出して来い」
十兵衛は、先手先手と打つように、日吉の考えを、始終、先を越して云った。
「――明智光安の甥、十兵衛光秀が、これにて待っておると申せ。