Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate

Aozora Bunko

「十兵衛どの」

呼び交わす声が、二度ほど、喚きの中で聞えた。

だが、そこの小戦争は、二、三名の死者ができると、忽ち、その死骸だけを残して林の中へ移ってしまった。

「ヤ、逃げたのか」

また、引き返して来ては、危険と考え、日吉は用心ぶかく、なかなか木の上から下りずに様子を窺っていた。

十兵衛、弥平治のわずか二人に突き崩されて、逃げたものとすれば、蜂須賀衆も口ほどもない雑兵級の者ばかり――と密かに蔑みながら、なお、耳を研いでいた。

彼のよじ登っていた木は、栗の木でもあろうか、手や頸すじへ何か針が触る。ばらばらと実や小枝が地へ落ちてゆく。――そして彼の体と、木全体は、暴風にゆさゆさと大きく揺れていた。

そのうちに、

「あッ、何だろ」

日吉は慌てた。

火山灰のような火の雨なのだ。勿論、日吉の周りにも――。

驚いて、梢から伸び上がった。蜂須賀村の者が火を放ったに違いない。森の二、三ヵ所から熾んな火が立ちはじめている。常在寺の裏の棟にも火がついたらしい。今、逃げ崩れた蜂須賀の者が、一人一人、火を放って逃げたのだ。

「たいへん!」

日吉は栗の実の一粒みたいに、梢から跳び下りて駈け出した。