Classici giapponesi con furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Leggi 新書太閤記 (しんしょたいこうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 180.256 caratteri · 361 schermate
「猿」
「どうしたい」
「何かまた、しくじったな。お払い箱だっていうじゃないか」
「もう十六だ。どこへ行ったって、御飯ぐらいは喰わせてくれるさ。男だ。ベソ掻くな、ベソ掻くな」
笑いながら、他の雇人だの、居合わせた人々が、彼を真中に、あっちこっちで、働いていながら云った。
日吉の耳には、ただ笑って囃されたような覚えしかなかった。けれど彼は、誰にだって泣き顔などは見せもしなかった。かえって白い歯を見せて、そこらを振り向き、
「誰が、ベソなんか掻くもんかい。――おらはもう、茶わん屋奉公など飽々だ。こんどは侍屋敷へ行って、侍奉公をするんだよだ!」
寝衣包を背なかに背負い、そこらに落ちていた細竹に、塩の袋を差して、ひょいと肩に担いだ。
「侍奉公するとよ」
「あははは。あんな捨てぜりふをいって行きゃあがる」
憎めないが、誰ひとり同情の眼で、彼の出てゆく背を見ていた者はなかった。日吉もまた、一歩そこの土塀を出ると、青空の碧さに心を吸われて、解れた気持のほか何もなかった。
――去年の八月、小豆坂の合戦で、敵の今川勢のなかへ駈け入り、功をあせったために、弾正は重傷を負って、やっと帰った。