Classici giapponesi con furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate
御掛けやす」
その女鹿坂上の、通称一本楓と言われた楓の下の艶めいた行燈の蔭から、女装した目にとろけんばかりの色香を湛えて、しきりに呼んでいるのは、元禄の京に名高い陰間茶屋です。――江戸の陰間茶屋と言えば、芝の神明裏と湯島の天神下と、一方は増上寺、一方は寛永寺と、揃いも揃って女人禁制のお寺近くにあるというのに、京はまたかくのごとく女には不自由をしない曲輪手前に、恐れ気もなく店を張っているのも、都ならでは見られぬ景物に違いない。
通り越して、ひょいと向うを見ると、はしなくも目にうつったのは、「易断」と丸提灯に染めぬいた大道易者のささやかな屋台です。――退屈男は、にやりとやると、のっそり近づいて、千二百石の殿様ぶりを、ついその言葉のはしにのせながら、横柄に言いました。
「退屈の折からじゃ、目をかけてつかわすぞ、神妙に占ってみい」
「………」
「どうじゃ。第一聞きたいは剣難じゃ。あらば早う会うて見たいものじゃが、あるかないか、どうじゃ」
「………」
「喃! おやじ! どうじゃ。剣難ありと人相に書いてはないか」
「………」
「ほほう。こやつめ、答えぬところを見ると、場所柄が場所柄ゆえ、堅いほうは不得手と見ゆるな。