Classici giapponesi con furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate
宵からずっと今の先迄わたくしを一室にとじこめて、淫らがましいことばかりおっしゃるのでござります。それゆえどうぞして逃げ出そうと思うておりましたところへ、この騒動が降って湧きましたゆえ、これ幸いとあそこの蔭まで参りましたら――お見それ申してお恥ずかしゅうござります。怕らしいお殿様じゃとばかり思い込んでおりましたお殿様が、どうやら御気性も頼もしそうな御旗本と、つい今あそこで承わりましたゆえ、恥ずかしさも忘れて駈け出したのでござります」
「ほほう喃、左様か左様か。いやずんとうれしいぞ。うれしいぞ。恋するからにはその位な覚悟でのうてはならぬ。大切な黒髪までもおろして恋を遂げようとは、近頃ずんと気に入ったわい。それにつけても許し難きは玄長法師じゃ。先程庇った女スリはいずれへ逃げ失せたか存ぜぬか」
「庫裡の離れに長煙管を吸うておりまする。いいえ、そればかりか、先程念日様が折檻うけました折に、つい口走ったのを聞きましたなれど、なにやらあの女スリと玄長様とのお二人は、もう前から言うもけがらわしい間柄じゃとかいうことにござります。いえいえ、祠堂金を初め、お山詣での方々の懐中を掠めておりますことも、みな玄長様のお差しがねじゃとか言うてでござります」