Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate

Aozora Bunko

ではのちほど――」

「まて! まてッ」

「はッ」

「いずれは警固もきびしく運び出すであろうゆえ、それと分らば合図致せよ」

「心得ました!」

ひたひたと三手に分れていずれもまっしぐら。――ざわ、ざわ、ざわと、庭の繁みの葉末を鳴らして、不気味な夜風です。

主水之介は、ぬッと築地わきに佇んだままで、薄闇の向うの門先を見守りました。

しかし出ない。

人影はゆめおろか、犬一匹屋敷うちからは姿を見せないのです。

合図の声もない。

北口不浄門からも、東口御小屋門からも、西口脇門からも、何の声すらないのです。

「はてのう? バラしたかな」

いぶかっているとき――。

「殿様え! 殿様々々。出ましたぞう!」

突如、闇を裂いて伝わって来たのは、まさしく東口御小屋門のかなたからです。

同時に一散走りでした。

駈けつけて見すかすと、なるほど八九名の影がある。しかも大きな長持を一挺担わせて、その黒い影の塊りが左右四方から厳重に守りつつ現れたのです。

ずいと近寄ると、

「まてい」

胆の髄までもしみ入るような声でした。

「わざわざ荷物に造って御苦労じゃ。手数をかけて相済まぬ。もうよいぞ。苦しゅうない。