Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Leggi 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 240.656 caratteri · 478 schermate

Aozora Bunko

ほんとうに、黙然とやや暫し、そこに佇みながら、血刀をさげたままで、何ごとか沈吟しているもののようでしたが、と見て、塀の上からおどりおりつつ、駈けよって来た京弥を見迎えながら、突如、わびしげに、呟くごとく言いました。

「あそこに倒れおる市毛甚之丞と、これなる死骸となった黒住団七の両名を、駕籠にでも拾い入れて、約束通り南町御番所の水島宇右衛門めへ土産に送ってつかわせ」

「送るはよろしゅうござりまするが、お殿様はいかがなさろうとおっしゃるのでござります」

「少し寂しゅうなったわ。退屈じゃ、退屈じゃと思うていたが、今となって思い返してみると、やはり人が斬りたかったからじゃわ。――しかし、もう斬った。久方ぶりにずい分斬った。そのためか、わしはなんとのう心寂しい! ――では、ずい分堅固で暮らせよ。菊路をも天下晴れて存分にいとしんでつかわせよ」

「ま! おまち下されませ!……どこへお越しになるのでござります。お待ち下されませ! どこへお越しになるのでござります!」

おろおろして、後を京弥が追いかけましたが、しかし、江戸名物旗本退屈男は、ふり返ろうともしないで、黙然と打ちうなだれながら、とぼとぼと闇の向うへ歩み去りました。