Classici giapponesi con furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Leggi 春いくたび (はるいくたび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.094 caratteri · 142 schermate
五
昔を思いかえすように、半九郎も笑っていった。
「ほう、ほう、ほう、ほう」
お糸がつづけてすると、裏山の方から同じようにまねて、梟の鳴く声がきこえて来た。……半九郎は子供にかえったような、あまくなつかしい気持でしばらくそのたわむれを楽しんでいたが、間もなく、
「隊長! こちらですか」
という石岡の声ではっとふり返った。
「おいで下さい、後援隊の使者です」
「――なに、来たか」
「騎馬の兵が一名、いま先につきました」
半九郎は矢倉をかけ下りた。
五
使者はまだ前髪だちの若者だった。
「後援隊三百人、松原金之進殿の指揮にて前進中です、二時間もすればここへつきましょう、――私が使者としてまいりましたのは、副総督の命令がありまして、明日の夕方までに黒川まで進めとのことでございます」
「明日の夕方までに?」
「はい、それで後援隊がつくまでに、出発の用意をしていただきたいと申します。松原隊長の考えでは今夜半ここを出立しなければなるまいとのことでした」
「――わかった、御苦労だった」
半九郎はむりなことだと思った。
三百人の後援隊が意外に早くきてくれたことは助かった、またこの若い使者が無事にここへ来られたところから察すると、峠の敵勢は案外手ぬるいかも知れない。