Classici giapponesi con furigana
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はるいくたび
春いくたび
山本 周五郎
Leggi 春いくたび (はるいくたび) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.094 caratteri · 142 schermate
……妹にはよく話して、にくい兄だと思わないでくれと書いてあるぞ」
――お兄さま!
若菜は胸のなかでくるおしくさけんだ。
――かんにんしてくださいまし、若菜は知らなかった、知らなかったのでございます。
湯のような涙がはらはらとあふれおちた。
そのときである!
地震かと思われるような、ずずずずんというはげしい地鳴りがしたと思うと、釜伏山の方にあたって百雷のひきさけるような大爆音がおこった。
「それ、やったぞ!」
人々は仮屋の縁先へ走り出した。
ようやく白みはじめた釜伏山の頂上から、紫色の大きな火柱が宙へふきあがっていた。
轟然! 轟然!
火柱はつづけさまに三度天をついた。
「――出陣、出陣」
大将純忠がりんりんとひびきわたる声でさけんだ。
陣鐘がなり、竹法螺がほえた、まちにまった時がきたのである。大地をどよもすときの声とともに、第一陣は潮のように進軍をはじめた。
えいえい、おうおう!
えいえい、おうおう!
暁かけて暴風雨はゆるんだ、夜あけのなかを堂々と進軍してゆく第一陣、つづいて第二陣、旗差物は万羽の海鳥のごとく、平原を圧してひるがえりひるがえりおしてゆく。