Classici giapponesi con furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Leggi 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 67.333 caratteri · 134 schermate
それは真冬の二月はじめのことで、庭のお池にはりつめた氷が、昼間もとけないで、一日一日と厚みをまして行くような、寒い寒いころでしたが、部屋の中は、大ぜいがあつまっているのと、火鉢のおかげで、心持よいあたたかさです。
「ウン、それじゃあ、こういう謎がとけるかね」
しばらく考えておいでになったお父さんが、ニッコリしておはじめになりました。
「いいかい。ここにお椀に半分ばかりの水があるとするね。その水でもって、どうすれば火をもやすことができるかというのだ。水から火をつくる法とでもいうかね。井戸の水でもいい。水道の水でもいい。だが、薬をつかってはいけないのだよ。お前も理科でならっただろうが、薬品をまぜあわせて火をもやすやり方はいろいろある。
しかしお父さんのは、そういうことではなくて、ただの水をつかって、火をもやしてごらんというのだよ。わかったかい。どうだ、むずかしいだろう」
お父さんはそういってお笑いになりましたが、なるほどむずかしい問題です。水というものは、火を消す力はもっていますけれど、火をもやす力なんて、まるでもっていないようにみえます。水と火とは、まったくあべこべのものです。