Classici giapponesi con furigana
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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
Leggi 智恵の一太郎 (ちえのいちたろう) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 67.333 caratteri · 134 schermate
その前には人間は壺をつくることを知らなかった。何千年か前の私たちの先祖が、非常な苦心をして、やっと土をかためることをおぼえ、壺をつくり出したのだ。
ところが、トックリバチは、この世に出て来た時から、ちゃんと壺を作ることを知っていた。この蜂は壺がなくては子供を育てることができないように生まれついているのだからね。だから、壺をつくることでは、なかなかえらいわけだよ」
「じゃ、こいつは人間よりもかしこいのですか」
一太郎君はちょっと不服らしい顔でたずねました。
「壺をつくることだけはね」
伯父さんはニコニコして答えました。
「トックリバチは壺をつくるように生まれついているんだよ。誰に教えられたのでもなく、また自分の智恵で考え出したのでもない。まったく生まれつきなんだ。
自分の智恵で工夫したのではないから、進歩というものがない。だから、こいつの壺は、千年前も今も、ちっともちがっていないのだよ。ところが、人間はそうじゃないね。生れつき壺をつくる力なんか、さずかっていないけれど、智恵をはたらかせてなんでも工夫する。人間には、物を工夫しつくりだす力があるんだ。何千年前には、土の壺さえ出来なかったのに、今では飛行機で鳥のように空を飛ぶことが出来るし、潜水艇で魚のように海の中を走ることもできるんだからね。