Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate

Aozora Bunko

亀千代ぎみのお命をちぢめても、脇から御家を相続することはできない、それは根もないことだ、と申しました」

「ましてただいまは」と甲斐は続けた、「ましてただいまは、鶴千代さまという乙君さえおわすのです、もしも御家を横領するとすれば、亀千代さま鶴千代さま、岩沼、寺池の御兄ぎみ方まで、お命をおちぢめ申さなければなりません、戦国争乱の世なら知らず、いま泰平の世にさようなことができるとおぼしめしますか」

綱宗は口をつぐんだ。

夫人はほっとしたように、まことにほっとしたように、甲斐の顔を見、そうして綱宗の顔を見た。綱宗はやや暫く黙っていて、やがて甲斐に云った。

「では、――毒害などという説は、どこから、なんのために起こるのだ」

「そのお答えはできません」と甲斐は穏やかに云った、「ただひとつ、誰びとかが、家中に疑心と臆測をひろめ、あわよくば騒動へもってゆこうとしている、家中を騒動に巻きこもうとして、ひそかに策をめぐらせている、ということはあるように思います」

「一ノ関だな」

いやといって、甲斐は綱宗をみつめながら、静かに首を振った。

「そのように人の詮索をなさることがなにより悪いのです」