Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate
安い香料と、強い躯の匂いが混りあって、むっと彼を包んだ。彼は吐きたいように胸苦しくなり、女の腕から身を放そうとした。女はまた呻き声をあげ、寝返りをうって、眠ったまま、片方の腕も彼に絡みついた。新八は荒あらしくその腕を払いのけ、躯をずらせ、そして女を押しやった。
「うるさいね」と女が眠ったまま云った、「しつっこい人だね、触らないでよ、うるさい」
そして、掛け夜具をもっと剥ぎ、ばたっと手足を投げだした。あらわにはだかった胸で、線のゆるんだ、大きな双の乳房が、重たげに揺れ、ぽかんとあいた厚い唇の端から、涎がたれていた。新八は女の寝ざまを見ながら、心のなかでふと、殺してやろうか、と呟いた。
「ふしぎだ」と彼はやがて呟いた。
こんなにも抑えがたい衝動を感じさせるのに、そのあとではいつも、激しい屈辱と嫌悪におそわれる。おみやのときもお久米のときにもそうであった。どちらのばあいも、そのあとで、ふと、殺してやろうか、と思ったことが幾たびかあった。
「これはどういうことだ」と彼は口の中で呟いた、「女のほうでも、こんなことを考えるのだろうか」
そうではないようだ。女にはそんな感情はないらしい、女は陶酔し、満たされ、しかも飽きるようすがない。