Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate

Aozora Bunko

たとすれば、世間に漏れぬよう、すぐに手配を致さなければならぬと思い、深夜ではありますがお騒がせ申しましたしだいです。しかし、お屋形さまのごようすで、私などがうろたえるまでもなく、然るべく処置されたものと、ようやく安堵を致しました」

「待て、毒死をどうする、というのだ」

「毒死ではございません」と甲斐は穏やかに云った、「毒死などということがある筈はございませんし、また、決してあってはなりません」

「待て原田、――」と兵部が遮った、「亀千代どのにすすめる膳部に毒が入れてあり、鬼役が三人、その毒で死んだということは事実だ、ほかの場合ではない、亀千代どのの膳部だ、これは弑逆の大罪だぞ」

「いや、毒死などの事実はございません」

「事実だ、明らかな事実だ、これは断じて隠蔽すべきことではないぞ」と云って兵部は膝を打った。

甲斐は兵部の眼をみつめ、眉をひそめながら、静かに首を振った。兵部を憐れむような、むしろ、いたましいとでもいうふうに、ゆっくりと首を振り、それから疲れた人のように、深い太息をついた。

「やむを得ません、ではひと言、申上げておきます」と甲斐は少し声を低めた、「東市正さまに不測の事が起こる危険がございます、どうぞくれぐれも御身辺にごゆだんなきよう、お願い申しておきます」