Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate
鉾を向けることでございましょう」
「なぜ東市正を覘うのだ」
「厩橋侯との契約は、東市正さまとの御縁にある、とかれらは信じております、されば、事の根元が東市正さまにあると思うのはしぜんでございましょう」
「ばかなことだ、ばかげたことだ」と兵部が云った、「それは狂気の沙汰だ、そんな蒙昧な人間がおろうとは思われない、それは船岡の臆測ではないのか」
「私が現に、刺客に襲われたことは、御存じの筈です」
「それで、次は東市正だ、というわけか」
「いや、――よくお考え下されば、お屋形さまにも御推察のつくことです、名はあげませぬが、誰それこそ藩家に害をなす人であると、口に、文書に、触れまわっている者があります」
「里見十左衛門だな」
「名はあげません、しかしそれが一人や二人ではないこと、また無思慮な若者どもが、その煽動に乗って、いかなる暴挙に出ようとしているかは、およそ御推察がつくと思います、私だけの臆測ではございません、多くの事実が示しております」
兵部は、暑い、と云った。
兵部は懐紙で額をぬぐった。彼は甲斐の言葉に強く動かされ、狼狽さえし始めたようである。甲斐は巧みに修辞して、現実にこれという証拠はあげず、しかも証拠をあげるよりも確実に、兵部の心の弱点を攻めた。