Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate
新左衛門は眼をあげて、慶月院をみつめながら云った、「御母堂のお考えを聞かせて下さい、船岡どのは盟約を守っておられるのか、それとも、しんじつ一ノ関の与党になってしまわれたのか」
「わたくしにはわかりません」
「貴女は御存じの筈です、ほかの母子ならともかく、貴女の船岡どのを見る眼に狂いはない、どうか御母堂の御意見を聞かせて下さい」
「わたくしにはわかりません」と慶月院は静かに云った。
「宗輔は年も不惑をすぎて、もう母親の手の届くところにはおりません、わたくしの手はもうあれには届きませんし、わたくしはただあれを信じているだけです」
「しかし、御母堂にはなにか、うちあけておられるのではありませんか」
慶月院はゆっくりと、首を振った。
「そうとおぼしきことも、ありませんでしたか」
「ございません、宗輔からそういう話しを聞いた覚えはありません、もし仮に、あれがそのようなことをうちあけたとしたら、わたくしは耳を塞いで叱りつけたでしょう」と慶月院は云った、「宗輔は不敏かもしれませんが男です、そのような大事について、たとえ母親にもせようちあけるようなみれん者なら、わたくしはわが子とは申しません」