Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate
新左衛門は隠居所を辞した。
茱萸の実は、喰べてみなくとも、その色で熟不熟がわかる、人の心底というものは……。慶月院の言葉はそこで切れたが、あとにどういう言葉が続くかは、およそ推察することができる。刀自は甲斐を信じきっているのだ、と新左衛門は思った。
館の客間へ戻ると、七十郎が酒を飲んでいた。
「躯のぐあいはどうです」
盃を口へもってゆきながら、七十郎は義兄を見あげた。彼は水をあびてさっぱりとし、借り着の帷子でくつろいでいた。
新左衛門は酒肴の膳を見て、憂鬱に眼をそらし、「うん」といってそこへ坐った。彼は七十郎が酒を飲むことを好まない。七十郎はまた義兄が酒を飲まないことを、玉に瑾だというのであった。
「柏屋に泊ったのを見た者があるというので、来てもらった」と新左衛門は扇子を動かしながら云った。咳が出て、彼は額の汗を拭いた。
「采女にも云いおいて来たが、そこもとにも頼んでおきたいことがある」
「躯のぐあいはいいんですか」
新左衛門は聞きながして、靱負おるか、と呼んだ。
家扶の鷺坂靱負が来ると、手箱と云い、こんどは激しく咳こんだ。七十郎は眼をそむけて、続けさまに酒を呷った。