Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ウニデスちょうりゅうのかなた

橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 247.361 caratteri · 483 schermate

Aozora Bunko

我々は茫然として言葉もなく佇んでいた。噴泉の水は涸れ、浴池には青苔蒸して青銅は錆び、眼に入るものすべては古色蒼然としてそこにはただ樹が繁り、花が乱れ咲いているだけの現実にはせよ、あまりにも絢爛たる邸の様子にただ夢に夢見る気持がして、眼を瞠って佇まずにはいられなかったのであった。しかも何百年前に人が住んでいたのか、何千年前に人がいたのかは知らなかったが、家の中は永遠の寂寞そのもののごとくに、佇んでいると何かは知らず、冷え冷えと一種の鬼気を感ぜずにはいられなかったのであった。しかも眼を挙げて一歩窓外を眺むれば、そこには真昼の陽光が燦々と降り濺いで彼方の昼なお暗き鬱蒼たる糸杉や、橄欖の森を背景に、一面の繚乱眼も眩まんばかり絢な花園であった。そしてそこにも花に台石を掩われた幾つかの青銅製の古代武人らしきものの像がそそり立ち、雪花石膏の艶麗花を欺かんばかりの裸体女神が佇んでいるのであった。

住む人とてもない無人の家、……絢爛たる廃墟! 華麗なる庭!

夢に夢見る心地というのはまったくこれを指すのであろう。さながら希臘か古羅馬貴族の邸にでも佇んで在りし昔の豪華なる俤でも偲んでいるかのような気持がしてくるのであった。