Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たなださいばんちょうのかいし

橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate

Aozora Bunko

「え?」

と、私は耳を疑いました。途端に全身がかっとして、燃えるようにまたにっこりと赧らめているジーナの顔が、ぽうっと花の咲いたように眼の前に躍って、この瞬間ほど私は、自分を幸福だと思ったことはありません。そしてその瞬間、もし眼を向うの方へ走らせて、ハッとしなかったらおそらくあるいは、夢中で彼女のからだを引き寄せてしまったに、違いありません。

が、瞬間私は、草原の中を疾風のように馬を走らせて来る、スパセニアの姿を認めたのです。そしてびっくりして、突っ立ち上がりました。見果てぬ楽しい楽しい夢を、引き破られたような気がして、何ともいえぬ腹立たしさを感じました。

「お待ちどおさま、……随分手間どったでしょう? 六蔵ったら……いくら探しても、いないのよ、散々探して、大野木へいこうとしている途中まで追っ駈けてって、やっと連れて来たわ」

とそこに、馬を立てているのです。

「ほら、あすこへ来るでしょう?」

なるほど、湖の遥か東側に、草原の中を歩いて来る人の姿が見えます。スパセニアは家まで戻って、馬でその六蔵という男の行方を探し回っていたのでしょう、温かい陽に蒸されて、上気したようにポウッと眼の縁が染まって、汗ばんだ髪がビッショリと、頬についています。