Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たなださいばんちょうのかいし

橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate

Aozora Bunko

随分長いのねえ、まだ今日から三十何日もあるわ! わたくし今日から一枚一枚、カレンダーに記けとくわ! とジーナが淋しそうにいうのです。いよいよ大野木の乗合の乗り場に着いてから小浜まで三里、麦畑と切り断ったような断崖の間を、乗合は走っているのです。二人が心を込めて作ってくれた弁当を持って乗り込むと、停留所の前に馬を停めて、ジーナは私の乗って来たイルシューの手綱を控えて手をふっています。側にはこの十二、三日の間に、すっかり馴染になったペリッチが畏まって尾を振っています。そして、スパセニアの姿が見えぬと思ったら、馬術の名手といわれる彼女は今馬を煽って、動き出した乗合の後からまっしぐらに、追って来るところです。

乗合が速さを増すと、同時にスパセニアの馬も、砂塵を蹴たてて追って来ます。私の車と摺れ摺れに駈けながら、片手を伸ばして車の窓硝子を叩いているのです。やっと窓をあけると投げこんだのは、いつも胸につけている大きな銀の襟飾りです。髪をなびかせながら大声に何か、叫んでるようでしたがそれはもう、聞こえません。車は急に、速力を増してきました。さすがにスパセニアの姿も、見る見る遠ざかって、それでもまだ必死に馬を飛ばせながら、鞭を持った手を狂気のようにふっています。