Classici giapponesi con furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate
十一
なくなってしまったものを、仕方がありません。
まごまごすれば、夜の帳はいよいよ迫って来て、村まで行くにさえ、差し支えそうになってきます。気を取り直して私は、星空を頼りに、その村道を辿り始めました。もう人家間近まで来てながら、二人に別れた後は、いよいよ身を切るばかりの寂寥が襲ってきて、この時ほど私は心の底から淋しさを感じたことはありません。
十一
姉妹の教えてくれた肥後屋という旅籠屋は、村の中ほどにありました。私が疲れ切った足を引き摺って、この宿屋へ着いたのは、夜ももう八時近くだったでしょうか? 辺鄙な片田舎の宿屋ですし、泊り客もないとみえて、静まり返っていましたが、さて奥まった部屋に通されて、やっと食事も済ませて人心地ついたからだを伸ばしている時に、朴訥そうな四十五、六の亭主が、
「お客様、さきほどはまことにご丁寧さまに」
と、さっきやった茶代の礼に、はいって来ました。
お客様、明日はどちらの方へおいでになりますか? 山越えで雲仙へでも? とか、どちらからおいでになりました? とか、どこも変らぬ宿屋の亭主らしい挨拶をしていましたが、亭主のつもりでは、こんなお愛想の一つ二つも並べて、引き下がるつもりだったかも知れません。