Classici giapponesi con furigana
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たなださいばんちょうのかいし
橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate
偲ばれましたが、それだけに腰元もいなければ供回り若党も一切なく、母親と女中と下男夫婦と、いつ行って見てもひっそりと静まり返っている小人数の棚田家というものは、何か大家の没落したような一種の侘しさを子供にも伝えずにはいませんでした。
しかも淋しい感じを与えたのは、何もそんな大きな屋敷や、古い石垣のせいばかりではありません。子供心にも何ともいえず薄気味悪かったのは、祖母からしょっちゅう聞かされた棚田の先祖の話だったのです。
棚田の家の裏手に大きな杉の森がそびえていることは、今も言ったようなわけでしたが、この森の中には、昔から土蔵がいくつか飛び飛びに並んで、奥庭の築山の裏手には、真っ青な水の澱んだ広々とした沼があって――それも一個人所有の池とも思えぬくらい広々とした沼があって、その涯は一面の雑木林が野原の中へ溶け入っているのです。この野原へ出ると、芒や茅の戦いでいる野路の向うに、明神ヶ岳とか、大内山という島原半島の山々が紫色に霞んで、中腹の草原でも焼き払ってるのでしょうか、赤い火がチリチリと煙っているのが夏の夕方なぞよく眺められました。祖母の言うのには、棚田さんへ遊びに行っても、裏の杉の森や、池の近くへはどんなことがあっても行ってはいけないよ。